日々の生活を送る中で、お金の問題は避けては通れない壁になることがあります。
私は精神疾患を患っており、仕事が不安定になったり、高額な医療費が家計を圧迫したりと、金銭的に困窮することが多々ありました。
頼れる親族もなく、少ない収入では家族を支えることができません。
しかし、私が知らなかっただけで、実は多くの助成金や支援制度があり、生活をサポートしてくれました。
この記事では、お金や生活の不安を抱える、精神疾患者やご家族を対象にさまざまなサポートの種類や活用方法を解説します。
「知ること」は解決の鍵であり、生活を安定させる第一歩です。
この記事を読むことで、出費を抑える方法や、働けなくなった時の対処法、生活をリセットする方法などを探すことが可能になります。
数多くのサポートから、精神疾患にフォーカスして解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
精神疾患者が受けられるサポートとは?
精神疾患者が受けられる、活用できる制度やサポートは、以下の8つがあります。
- 自立支援医療制度
- 傷病手当金
- 免除できる税金について
- 国民健康保険
- 国民年金
- 医療費控除
- 障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
- 当事者会
この他にもさまざまな支援制度がありますが、今回は上記8つに絞って解説します。
自立支援医療制度
「自立支援医療制度」は、通院が必要な精神疾患者の、医療費の自己負担を軽減する制度です(以下、自立支援とします)。
医療費は通常、3割が自己負担になりますが、自立支援を利用すると、自己負担を1割に軽減できます。
例えば、医療費の支払金額が2,100円だった場合、この制度を活用することで、支払金額が700円に減少。
さらに、自立支援には、1か月当たりの医療費負担額に「上限」が設けられています。
例えば、医療費の上限が1万円だった場合、月初めに1万円分の医療費を支払ったならば、残りの日数は無料で、受診や薬をもらうことが可能です。
医療費負担の上限額については、各家庭の所得によって異なり、2万円、1万円、5000円など、段階的に設定されています。
詳しくは、厚生労働省のホームページをご確認ください。(https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushienhou04/)
自立支援の対象となるのは、通院治療が必要な精神疾患を抱えている方です(統合失調症、うつ病、躁うつ病、薬物依存症、PTSD、パニック障害、知的障害、心理的発達の障害、てんかん、認知症など)。
この制度を利用するには、主治医の診断書が必要で、市町村の窓口で申請する必要があります。
まずは、ご自分の主治医に相談してみましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、健康保険加入者が病気やケガで仕事ができなくなった時に受け取れる給付金で、持病として精神疾患を抱える方も対象になります。
給付の条件は以下の4点です。
- 病気やケガの原因が仕事以外であること
- 連続して4日以上、仕事を休んでいること
- 仕事を休んでいる期間に、給与が支払われていないこと
- 医師の診断書があること
受け取れる金額については、次の式から計算します。
「1日あたりの傷病手当金=直近12ヵ月の標準報酬月額を平均した金額÷30×2/3」※計算式は職業により若干異なります
給付金を受け取れる期間は、最長1年6か月です。
これは、会社に在籍している間に給付される期間で、会社を辞めた場合は支給されません。
会社を辞めた後も継続して受け取るには、1年以上その会社に在籍していた実績が必要になります。
ちなみに、複数の傷病で申請しても、傷病手当金は二重に受け付けることはできません。
また傷病手当金を申請するのは、有給休暇を全て使い切ってからにしましょう。
免除できる税金について
会社を辞めたり、傷病手当金などの給付金だけで生活していたりと、収入が少なく生活に困窮している場合は、減税や免税の申請ができる制度があります。
国民健康保険
国民健康保険の免除制度は、会社都合で退職したり、病気や介護のために退職したりした場合に、国民健康保険料の支払いを減額、または免除できるようにするものです。
具体的な対象者は、以下の条件を満たす方です。
- 65歳未満で退職した方
- 「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」を持っている方
- 雇用保険の特定受給資格者(解雇など会社都合による退職)または、特定理由離職者(雇い止めなどによる退職)に該当する方
この制度を利用するためには、各市町村の窓口で申請し、審査を通過する必要があります。
税金の減免を申請するには、通帳や証明書などさまざまな書類が必要なため、まずは市町村の窓口に相談しましょう。
国民年金
国民年金の保険料免除制度は、経済的に厳しい状況にある場合に、保険料の支払いを一時的に免除または猶予する制度です。
またこの制度を利用することで、将来の年金受給権を保持することも可能となります。
免除の種類には「全額免除」と「一部免除」があり、全額免除は保険料全額を、一部免除は保険料の一部を免除します。
申請手続きについては、各市町村の窓口に相談しましょう。
国民年金の免除にも審査が必要なので、国民健康保険と合わせて申請すると手間が省けます。
医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円または所得の5%を超えた場合、超過分の医療費を、所得税から控除できる制度です。
つまり医療費控除とは、特定の金額を超えて支払った、医療費の一部が返金される制度です。
ちなみに、年間所得が200万円未満の方は、医療費が「総所得×5%」以上かかっていた場合、お金が返ってきます。
例えば、年間所得が150万円の家庭は、7万5千円を超えた分の医療費が、控除の対象です。
控除対象は自分や家族の医療費で、確定申告の手続きが必要になります。
医療費控除の手続き方法は以下の通りです。
領収書の整理:申請できるのは、医者の診察費、薬剤費、入院費、手術費、検査費、治療費、交通費(医療機関への往復)、看護費など
確定申告書の準備:所得税の確定申告書を準備し、「医療費控除の明細書」を添付する
医療費控除の明細書の作成:1年間に支払った医療費の合計と基準額(10万円または所得の5%)を記載する
確定申告の提出:確定申告書と医療費控除の明細書を税務署に提出(マイナンバーカードを利用し、オンラインでの確定申告も可能)
注意点として、確定申告の期限内に手続きすること、医療費の領収書は自宅で5年間保管することが義務付けられています。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
障害者手帳は、さまざまな福祉サービスを受けるための証明書で、精神障害により、日常生活や社会生活への制約がある方のために発行されます。
具体的には、以下のような福祉サービスや特典を受けられます。
- 福祉サービス:日常生活支援や職業支援、リハビリテーションサービスなど
- 税制の優遇:所得税や住民税の控除など
- 公共料金の割引:公共交通機関の料金割引や、公共施設の入場料割引など
- 障害者雇用:障害者枠での就職や転職活動が可能になる
- 医療費の自己負担軽減
- その他:駐車場の優先利用、映画館や遊園地の料金割引など
障害者手帳の対象となる精神疾患は、統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病など)、てんかん、薬物・アルコール中毒、高次脳機能障害、発達障害など、広範囲に及びます。
ちなみに、障害者手帳の申請には、主治医の判断が必要です。
他にもさまざまな条件がありますが、まずは主治医に相談し、手続きを進めましょう。
当事者会
当事者会とは、同病者が経験や感情を共有し、支え合う場です。
当事者会の動内容は次の通りです。
- 交流会:お互いに経験や感情を話し合い、共感を得たり、孤独感を緩和したりするための集会
- 学習・提言活動:社会に対する認識を深めたり、精神疾患に対する理解を広めたりするための活動
- 社会参加をサポートする活動:精神疾患者が、自分らしく、安心して社会生活を送ることをサポートする活動
- 情報提供:治療方法や社会資源、福祉制度についての情報を提供
活動の詳細や連絡先については、地域の精神保健福祉センターや、保健所などで確認できます。
自分が受けられるサポートの詳細は「保健所に相談」
保健所では、精神疾患に対する相談も受け付けており、必要に応じて、専門の医療機関などの紹介も行っています。
保健所には、精神保健福祉士を含む多職種の専門職が配置されており、地域の医療機関や保健センターと連携して、精神疾患者やその家族に対し、さまざまなサポートを提供しています。
精神疾患や家庭環境などに関する相談は、電話や窓口で受け付けているので、金銭面に限らず、悩み事があるなら一度相談してみましょう。
現在の仕事や就職活動についてお悩みの方は、こちらの記事もご参考にどうぞ「ハローワークで実際に職業適性検査を受けた結果報告|発達障害、メンタル疾患持ちが受検した感想など」
まとめ
精神疾患を抱えながらの生活は、容易なものではありませんが、適切な情報とサポートがあれば、負担を軽くすることができます。
この記事では精神疾患にスポットを当て、金銭的、精神的なサポートが受けられる制度について解説しました。
「知ること」は問題解決の第一歩です。
あなた自身やご家族が、これらのサポートを利用することで、少しでも生活しやすくなることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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